2014年2月 大吟醸「北秋田」

大吟醸「北秋田」

2月1日
7組の雲財です。


同窓会のクラス委員会に寄って「酒」の話をしていたら、こんなことになりました。
HPの掲示板に、ちょこっと私が飲んだ日本酒(冷酒限定)の紹介をしようとしたら、何と格調の高いHPであることか。
少々尻込みしてしまいました。
ま、しかし、こんな息抜きのような文章もあってよいかと無理矢理に自分を納得させて、日本酒の紹介を始めることにしました。

そもそも私は味覚音痴です。
「うまい」「まあまあ」「食べるのは遠慮したい」「食べられない」くらいの区別しかしていません。
個人によって味覚は違うし、それで当たり前と思っています。
ですから、「お勧め」の酒の話ではありません。
「ちょっと試しに飲んでみて下さい」という、いろいろな「お酒」の話です。

で、初回に登場するお酒は、秋田県の「北秋田」という大吟醸です。
「北鹿」という会社のお酒です。
アルコールは15度、大吟醸にしては味は少し荒い感じ。
私は、少し辛口だと感じました。
よく言われる「淡麗」とは違うような。
お米の銘柄表示はありませんでした。

何故この酒が1番目に出て来るのか。
理由は特にありません。
昨年の秋頃にいきつけの酒屋さんで、家内が何気に買って来ました。
ところが飲み始めると、もう一杯飲みたくなる。
何やら、どんどん飲めそうな気がしてきました。
こんな感覚は久し振りのことだったので、強く印象に残ったのでした。

いつも出入りしている酒屋さんで、始めて見る酒を買ってみる。
日本酒って、本当に沢山の種類がありますよ。
同じ銘柄でも年によって味が違うし、その味の広がりは無限です。
味音痴の私は、その違いをうまく表現出来ないのが残念ですが、兎に角、「違う」ということだけは分かる。
その「違い」が私の好奇心を掻き立ててくれます。

2014年3月「大地の夢」前編

「大地の夢」前編

3月2日



新聞報道などでご存知の方もいると思います。
徳島県立三好高校食品発酵コースの生徒さんが製造を手伝ったという酒で、特別純米無濾過生酒と特別純米酒の二種類があります。

初めての製造・出荷は平成20年12月。
醸造試験で醸した酒は販売することが出来ないので、池田町にある三芳菊酒造の酒蔵に生徒さんが出掛け、醸造の実習としてこの日本酒が誕生しました。
生徒さんたちが夏に作った酒米「五百万石」も10%使っています。
初年度は販売予定の総本数が約3千本でした。

「大地の夢」の命名は生徒さんであり、その由来は「大地と共に心を耕す」という、三好高校の実習訓からだそうです。

二種類の酒はどちらも4合瓶のもので特別純米無濾過生酒はアルコール17.5度、価格1575円、特別純米酒はアルコール15.5度、価格1260円でした。

原料米は福井県産五百万石90%と三好高校の五百万石10%、精米歩合はいずれも65%で徳島県酵母を使用し、酸度1.5、アミノ酸度1.0となっています。

初年度(平成20年12月蔵出し)は、いかにも無骨で荒々しいといった味でした。
本来のお米の風味がアルコールの力を借りて口の中で暴れまくっているような、そんな個性が強いと表現されるような感じでした。
どのような酒に成長するのか「将来が楽しみに思える酒」といったところだったでしょうか。


2作目は翌年(平成21年)12月に販売されました。
やはり二種類で4合瓶仕立て、特別純米無濾過生酒はアルコール17.3度、価格1575円、特別純米酒はアルコール15.5度、価格1260円でした。

原料米の種類は同じなのですが、福井県産五百万石30%、三好高校の五百万石70%と、ブレンド比が逆転し、生酒のアルコール度が僅かに低くなっています。
(ちなみに私は、1度以上違わないと分かりません)
精米歩合はいずれも65%で徳島県酵母を使用というのは前作と同じですが、酸度1.7、アミノ酸度1.1となり、少し酸度が上がっていました。
(これで味がどう違うのかサッパリ説明出来ません)

ちなみに、酒のラベルなんて見たことない、美味しく飲めれば関係無い、という、かつての私のような「酒好き」の方に、ちょっと豆知識。
「酸度」というのは高くなる程「辛口」を引き立てます。
「アミノ酸度」は味わいの濃淡の目安です。

近頃は「日本酒度」という物差しがよく表示されていますが、「日本酒度」は一応「甘口」「辛口」の区別を図るもので、水を基準とした比重と考えれば分かり易いでしょうか。
0を基点として、プラス数字が大きい程「軽い」「辛口」だそうです。
と、横道に逸れるのはここまでにして、
2作目は明らかに味が変化していました。
荒削りな部分が薄れて飲み易くなり、流行の少しフルーティな味わいが微かに漂い、その心地よい舌触りが感じられるようになっていました。

「阿波踊りの乱舞」から「ピンクレディーの振り付け」になった感じ、「キャンディーズの振り付け」程は「大人しく」なくて、「社交ダンス」というものとは「質」が異なるような、そのような感じでした。
(ワケが分からないでしょう。実は私もよく分からない。印象です。)

「大地の夢」は三芳菊酒造で醸造しており、本当は三芳菊の「酵母」と杜氏さんの「味」であり、毎年、別の高校生が作っているのですが、思わず「味」の進化を楽しみにしてしまいます。

さて3作目(平成22年)では味のドンデン返しがありました。
面白いと感じられた方、後編を期待して下さい。

2014年4月「大地の夢」後編

「大地の夢」後編

4月4日



今月も「大地の夢」(後編)です。

3作目は、平成22年12月に出荷されました。
「特別純米無濾過生酒」と「特別純米酒」の二種類で、四合瓶仕立てというのも変わりありませんでした。
各々のスペックは、

「特別純米無濾過生酒」は、

  • アルコール分 17.3度
  • 原料米は全量「五百万石」(産地表示無し)
  • 精米歩合 60%、日本酒度 +3
  • 酸度 1.7、アミノ酸度 1.1
  • 徳島吟醸酵母を使用していました。


「特別純米酒」は、

  • アルコール分 15.5度で、
  • 他は「生酒」と同じでした。


これは前年の酒と全く同じ数字で、違うと言えば、お米の出所がはっきりしない位でした。
ところが、ところが、飲んでみてビックリ。
思わず「何じゃ、こりゃー」と叫んでいました。

味は「酸味」の効いたジュースという感じで、「軽い」と表現するなら、「踊る」といった方が良いような、「甘味」と「酸味」が「どうだ、どうだ」と、押し迫って来るような印象を受けました。

前年の「控え目なフルーティーな味わい」は、その面影も無く、「フルーティーだ、フルーティーだ、フルーティーだぞ」とまるで、何処かのレスリング・コーチが連呼しているような、私にとっては、少し辟易としそうな味と香りでした。

ただ、そこで、ひょいと思い立って、日本酒初心者の三男(この時丁度二十歳)にこれを飲ませ、普段私が飲んでいる淡麗辛口の酒と比べ、どちらが美味しいか、飲み易いか問うてみました。
結果は予想通り、「大地の夢」が飲み易いと言うのです。

同じように、大学でザル酒をやっている長女に飲ませると、次にグラスへ注いだのは、私の「普段の酒」の方でした。
次男は、酒での失敗がそろそろ指の数を超えたレベルだったのですが、「大地の夢」と「淡麗辛口」を交代で飲んでいました。

そこで結論。この年の「大地の夢」は初心者向けの酒だった。
確かに「口当たり」は抜群で、カクテル感覚で、何杯も飲めそうに思えるところがあった。
「冷酒」または「日本酒」にまだ十分な「馴染み」のない人達には、確かにこの味は「受ける」と思ったのでした。

平成23年と平成24年は、私が新聞広告を見落としてしまい注文の機会を失ってしまったので、結局、飲めませんでした。

そして平成25年12月、昨年は、きっちりと徳島新聞の記事をチェックして注文しました。
やはり「特別純米無濾過生酒」と「特別純米酒」の二種類で、四合瓶仕立てというのも変わりありませんでした。

ただラベルを見て驚き!。
再び「何じゃ、こりゃー」となったのです。
「乙女チック」「アニメチック」丸出しでした。
ラベルの表示も少し変更されていて、二種類とも全く同じでした。

  • アルコール分 15度
  • 原料米は、徳島県産五百万石(東みよし町山田農園)を百%使用
  • 精米歩合 60%で、徳島県酵母使用とあり、日本酒度や酸度、アミノ酸度の表示はありませんでした。


それで、何処かのアニメから飛び出して来たようなラベルを眺めつつ、平成22年の味を脳裏に浮かべて、恐る恐る口をつけてみました。
そうしたら、再び「何じゃ、こりゃー」。
普段飲んでいる冷酒と比べてみても全く遜色のない、ごくごく「普通」の冷酒だったのです。
ラベルから想像された味と平成22年の風味、それらの記憶を木っ端微塵に打ち砕く「普通」の冷酒でした。

僅かな酸味と、冷酒独特のフルーティーな味、日本海側の冷酒に感じる、鋭く斬り付けて来るような味と異なり、
吉野川水系独特の優しく、まったりとした爽やかな甘み、もう何処に出しても恥ずかしくない、「徳島の酒」という印象を強く受けました。
家内に言わせると、まだ「荒い」味だというのですが、私は、純米酒だから、それは「酒の個性」だと思ったのでした。

うまく表現出来ないのですが、その土地の水、その水で育った米だけで醸造した「純米酒」は、「個性」というか「癖」が有って当然だと思うのです。

何れにしても、これは「売れる」と直感しました。
「酒好き」の私にしてみれば、徳島にまた美味しい酒が出来た、と思うのでした。

2014年5月 幻の酒「白山」

幻の酒「白山」

5月8日



「幻の酒」と言っても「滅多にない酒」という意味ではありません。
恐らく、徳島の何処の食事処でも、宴会の時に出て来る、アルコール度数14度〜15度、吟醸クラスの「芳水」や「鳴門鯛」、「瓢太閤」のようなものだと思います。

私にとっての「幻の酒」なのです。
そして私を「冷酒」の世界へ引き込んだ酒でもあります。

もう15年以上も前の話になりますが、病院職員の慰安旅行で、能登の和倉温泉へ行きました。
2泊目は金沢市内で、夜に職員と連れ立って飲みに出かけました。
何処の町にも、何処にでもあるような店でした。
そこで出会ったのが「白山」でした。

その時は、5種類くらいの酒を順繰りに飲んでいたのですが、確か3番目の酒を飲んだ時、思わず銘柄を確認したのでした。

爽やかなアルコール味(今から思えば度数が低かった所為なのか)香りが乏しいのに「はっ」と覚醒するような風味、それでいて後味を引かないキレがあり、正に「飲酒している」という実感を与えてくれた酒でした。

で、徳島へ戻ってから探しました。
もう一度、あの風味を味わいたいと思い。
聞いていたのは「白山」という銘柄の名前だけでした。
いつも通っている酒屋さんには取引がないとのことで、6本まとめて取り寄せたりもしました。
それが以下の(写真)です。


しかし、何れも望んでいた味とは異なりました。
以来、この「酒の風味」を求めて、あれこれ手当たり次第に飲んでみるようになりました。
勿論、沢山の美味しい冷酒に出会うことが出来たのですが、あの「爽やかな一陣の風の如き”白山”」には、まだ出会うことが出来ていません。


そして最近、あることに気付いたのです。
あの酒の風味は、「あの時、あの場所、あの仲間」と「酒」、それらが揃って作り出した「風味」なのではないかと。
「時」と「場所」と、そして「人」と「酒」が運良く出会えた時に、「人生最良の酒」が飲めるのではないか、と気付いたのです。

「一期一会」と表現したら良いのでしょうか。
そんなお酒に巡り会いたいと思い、体力が低下して来た今も、チビチビと飲んでいる次第です。

2014年6月 我が家の常備酒「華鳩・純米吟醸」

我が家の常備酒「華鳩・純米吟醸」

6月10日


もう十年以上になりますか、
我が家の冷蔵庫にいつも鎮座するようになりました。
広島県呉市(市町村合併前は安芸郡)音戸町で生まれたお酒です。
蔵元は榎酒造株式会社。

大まかに3色の瓶(茶色、青色、緑色)がありますが、値段的に茶色を「松」とするなら、青色や緑色は、「竹」や「梅」になるでしょうか。
常には青瓶「純米吟醸」を飲み

子供らが帰って来た時に一緒に飲むのが、
茶瓶「純米大吟醸」です。



アルコール度数は、大吟醸で17度〜20度。
普段飲んでいる青瓶は15度〜16度です。
大吟醸は「山田錦」を使用していることが多いのですが、吟醸の方は「八反錦」を使用しています。
ちなみに私の好みは「八反錦」の方です。
ちょっと「酒」っぽい癖を感じるのです。

時に限定生産と称して「純米原酒」「純米生酒」

なるものも購入するのですが、
度数18.4度、日本酒度+6、酸度2.4だったりしてアルコールに飢えている時など、全身に染み渡る快感を覚えます。
(「酒飲み」ではありません。「酒好き」です。)

青瓶の基本的な風味は「淡麗ちょい辛」、酒の癖を感じるものの、嫌味な程には強調されておらず、サッパリとして口当たり良く、油断すると結構な量を飲んでしまうという酒です。
一日の疲れを癒し、「夢の世界」へという感じ。
以前、「森の元気」での集まりに持参した酒です。

どこかの本に書いてあったのですが、「酒好き」の家には、このような常備の酒と、とっておきの酒があるそうな。
普段は常備の酒で一日の疲れを癒し、楽しいことや嬉しいことがあった日には、とっておきの酒で、その余韻に浸る。
こんな「世界」もあるのだと感じています。

2014年7月 「大雪渓」

「大雪渓」

7月9日



「限定」には弱い私のお酒です。
とは言っても、普通に売っている瓶もあります。
長野県は北安曇郡池田町にある、大雪渓酒造株式会社が作っているお酒です。


使用米は主に長野県産の「美山錦」
アルコール度数が少し高めなものが多く、私は「純米」「無濾過生原酒」を多く飲んでいます。

ここのお酒の特徴は、仕込桶ごとに番号を振って、その桶単位に丸ごと酒屋さんが買い取り、そこの酒屋さんで販売しているということです。


ラベルにあるように、発売元が近所の酒屋さんです。
そして「仕込75号桶」「限定」と印刷されています。
パソコンで普通の紙に印刷したようなラベルで、事実、ラベルを取ろうと水に漬けると、印刷のインクも溶けてしまいました。

お酒は、「無濾過」の「生原酒」が基本であり、特別本醸造、特別純米、純米吟醸と何でもあり。
原酒であるが故に、中には度数の高いものもあります。


極めつけは、平成19年の63号桶でした。
メロンの香りのような初口、「酒」であることを意識させないような、かといって清涼飲料水などとは決して違う、「アルコール風味」が爽やかに際だち、キレの良い微かな甘みが心地よく口内に残る、本当に夢の世界へ誘われたような酒でした。


この「大雪渓」を飲んでいて始めて気付いたのは、同じ酒屋さんに卸された、同じ酒造会社の酒なのに、桶が異なると、全く味が異なってしまうことでした。

19年の63号桶の酒は、美味しかったこともあって、日を置いて何度か同じ桶の酒を購入しました。
勿論、期待していた通りの風味を楽しめました。

ところが同じ年に作られた49号桶や72号桶と比べたら、別の酒造会社が醸造した酒ではないか、という位に、全く別物の味がしました。(美味しかったですよ)

純米吟醸であったり、特別純米だったりして、お米の磨き方や酒の作り方は異なるものの、水と米と麹、何れも同じ酒蔵のものであるのに、ここまで風味が違ってしまうのかと驚かされました。

本当に日本酒って奥が深い。
多分、ワインもそうなのだと思います。

ちなみに、この年は何本も大雪渓を空けました。
しかし、「酒飲み」ではありません。単なる「酒好き」です。

2014年8月 「梅錦」

「梅錦」

8月19日



甘口が好きな「酒好き」の方には、結構、名前が知られている四国の酒です。
愛媛県四国中央市(旧川之江市)に蔵元を置く梅錦山川株式会社のお酒です。

ものの本によると、関西は甘口の傾向があり、瀬戸内海沿岸も甘口の傾向にあるとか。
勿論、酒の味を決めるのは杜氏さんであって、高知県の酒などは、確かに辛口の酒が多いのですが、余談はさておいて、「梅錦」の話です。

初めての出会いは丸亀の麻雀の席で。
勝負に夢中になって味は覚えていません。
丸亀在住の時は、その後も飲んだのですが、飲み易かったという印象しかありませんでした。
その無知を正してくれたのは頂き物の1本でした。



丸亀で飲んだ時は、確かに「甘い」と言われれば、他の酒よりは「甘味」のような含み味がありました。
ただ少し「場違い」のような「甘さ」で、酒本来の旨さと「甘味」が乖離しているように感じました。
(一緒に食べた物が影響したのかも知れません)

しかし頂き物の「甘さ」は違いました。
最初に感じたのは「上品な白桃」の香り、爽やかに口内に漂い、喉を抜けていきました。

コンテストに出されるようなカクテルに似ており、以前にこの欄で書いた「大地の夢」(平成22年)、
あの酒を究極の域にまで高めたような味、と言えばいいのでしょうか。

実際には、「梅錦」の方を先に飲んいるので、その当時は、非常に新鮮な「甘味」と感じたのでした。
アルコールの風味が決して踊らず、甘味を伴って静かに静かに全身に浸透していくようでした。

で、「うおっ、こんな味やったかいな」と驚き、例の如く「夢よもう一度」とばかり、2本目、3本目を買い求めたわけです。



結果はいつもの通り、二度と出会えませんでした。
特殊な形をした4合瓶だったので探すのは簡単でした。
「天味・純米大吟醸」というラベルも同じでしたが、やはり醸造年度が異なっていたのが決定的だったようです。

それから「梅錦」の「純米大吟醸」にも当たってみましたが、結果は玉砕。
それらの「梅錦」が「外れ」というのでは決してありません。
純米大吟醸なので標準以上に美味しかったのですが、
「一般的」であったのです。



これも以前に書きましたが、やはり「一期一会」なのだと思います。
そして教訓。美味しいと感じたら、「その年の酒を買い占めるくらいの積もりで飲もう」でした。

2014年9月 「酔心」

「酔心」

9月25日



広島県三原市で醸造されているお酒です。
初めて飲んだのは、平成14年8月。
ラベルのスクラップには「まあまあ」という注釈だけ。
入手経路も入手経緯も全く不明であり、飲んだ印象も全く残っていませんでした。



ところが二年前に、三男がいる東広島市へ出かける機会がありました。
旅行の目的は、東広島市の西条で開かれる酒祭りを見ることでした。
東広島へ到着した夜、子供を呼び出して夕食を一緒に食べたのですが、メニューを子供に任せていたところ、行った先はステーキ屋さん。
「駄目モト」でマスターに「冷酒あるかな」と聞いたところ出て来たのが「酔心」でした。

日本酒は全ての料理に合う酒だと言われていますが、私は、牛乳、チーズ製品をあてに冷酒を飲めません。
以前はぼた餅をあてに飲んでいたこともありましたが、肉系の料理に合う冷酒も見つけられないでいました。

ところが「酔心」を飲みながら食べたステーキの美味いこと。
いつもの「肉の味」と「酒の味」がちぐはぐになっているような、そんなバラバラになったような味を全く感じませんでした。

で、マスターに「これ、いけるやないかい」と言ったところ、さすが西条だけあって、マスターも日本酒が好きで、自分がステーキ屋を開業するにあたり肉に合う日本酒を探し、地元広島県の三原市で造っている「酔心」を選んだそうです。

その夜は、「酔心」を含めて1本酒(4合酒)をやってしまい、翌日から開催された酒祭りでは、酒を飲む気になれなくて、蔵元の酒巡りならぬ、仕込み水巡りをするオチになりました。

しかし仕込み水もなかなか奥が深い。
灘や伏見の水は有名ですが、どちらも硬水で、それに反して西条の水は軟水なんだそうです。

ただ、仕込み水巡りをして飲んでみた印象は、硬水、軟水のどちらもありそうに思えました。
本当に、どの井戸も同じ味をしてないのだから。
ほんの数km範囲内にある酒蔵の地下水なのにここまで味が違うものなのかと驚きました。

兎に角酒祭りの旅は、「賀茂鶴」で4種類の酒を選び、それを自宅に発送して終わったのでした。
それにしても、「やっぱり、探せば有るものだ」と、つくづく感じたのですが、
「よし、チーズに合う日本酒を探そう」との考えには至りませんでした。
その時は、素直にバーボンくらいにしておきます。

ところで、次の写真と前出の写真を比べてみて下さい。



同じ銘柄の「金ラベル」と「銀ラベル」ではありません。
後出のラベルは、先月の「今月の冷酒・梅錦」のものです。
三原市と四国中央市、瀬戸内海を挟んで位置する町ですが、どういうことなのだろう。

2014年10月 「芳水」

「芳水」

10月21日



言わずと知れた徳島県のお酒です。
三好市井川町にある芳水酒造が醸造しています。

美濃田の渕で川船を浮かせて、酒を飲みながら漢詩を詠む、そんな優雅な遊びが行われていた、阿波刻み煙草の全盛時のころ、漢詩の中で、吉野川が芳水(よしのみず)と詠まれたことに因み、命名された由来が、会社のHPに載っています。

このお酒、実は我が家の初代「常備の酒」でした。
現在は、呉市の「華鳩」になっていますが、十七、八年前から数年間は、いつも冷蔵庫のヌシでした。

一番沢山飲んだのは、このラベルの酒。



白ラベルと黄ラベルのものがあり、白は写真の純米大吟醸で、黄は大吟醸です。
アルコール度数はどちらも16度以上17度未満ですが、白は広島八反錦で、黄は兵庫山田錦を使っています。

当時はそんな内容を見もしないで、どちらかと言えば、黄ラベルの方を好んで飲んでいたように記憶しています。
冷酒を飲み始めて、まだ初心者だった頃なので、兎に角、口当たりの良い方を好んでいたように思います。
(今なら、間違いなく「白」の方を飲むのでしょうが)

この「芳水」の味に引き寄せられて、私の内なる眠れる「酒好き」が表に出て来たようです。
あれこれと「芳水」銘柄の酒を飲んでみました。



これはアルコール度数20度以上の酒。
ア度数が高くなると「美味い」と気付きました。
思わず「酒っけー」と叫びたくなるような切れ味、今になって分かるのですが、私が感じる「切れ味」には、
鋭利なカミソリのような軽妙な切れ味の印象と、日本刀のような重量感のある切れ味があるのですが、「芳水」は前者のように思われました。
(「酒飲み」ではありません。「酒好き」です。)



これはビール代わりに飲んでみたものです。
アルコール度数は13度以上で純米吟醸生貯蔵酒です。
確かに「ビール代わり」で、「喉越しスッキリ」の酒でした。
ビールを飲むと、それがビールの味と分かるように、確かにこれを飲むと「日本酒」だと分かる味がしました。
日本酒独特の「こく」や「芳香」などを極力抑えた、「清涼アルコール飲料」といったところでしょうか。

このように数年間、あれこれと飲んできた「芳水」だったのですが、ある頃から次第に、他の日本酒を求めるようになってしまいました。
そんな風になって凡そ1、2年が経った頃、とある宴会で同窓生の村井君から、芳水の杜氏さんが代わったことを聞かされたのです。

「どこが、どう違う」とは説明出来ないのですが、「酒」を造るのは「人」だと改めて実感したわけです。
「米」と「水」、「気候風土」と「人」、「自分の好み」と「共に飲む人」、「食べ物」に「場所」、どれとして同じ味の酒はないのではないか、などと、最近思ったりしています。

2014年11月 「凱陣」

「凱陣」

11月14日



香川県琴平町で醸造されているお酒です。
県内の食事処では余り見掛けません。
常置のお店は現在2軒知っています。過去にも1軒ありました。



余り出回ってはいないお酒と思っていたら、「通好み」の酒らしく、結構有名であることを最近知りました。
「美味しんぼ」54巻で紹介されたらしいです。

先日、般若党の例会をゴルフ同好会と一緒に行った時、「どまんなか」のメニューにあった「旭若松(那賀酒造)」
あのお酒と同じような「境遇」にあるお酒のようです。
私自身は例会でその「旭若松」を飲むのを楽しみにしていたのですが、「今日は有りません」とあっさりと振られてしまいました。
(代わりに飲んだ「梵」も美味しかったですよ)

で何が「通好み」なのかと言いますと、毎年毎年「味」が違うのだそうです。
理由は「無濾過」。
その年その年の厳選された酒米から、そのままの酒造りをするので、「味」は違っていて当然なのですが、毎年「美味しいお酒」を造るとなると、並々ならぬ苦労があります。
「酒好き」に翌年の「味」を期待させる「酒」ということでしょうか。

前出のラベルの酒は、十年ほど前のものです。
  アルコール度数は17.0度以上18.0度未満
  醸造アルコールを使用しています
  兵庫県産山田錦を使用し、精米歩合は35%、
  使用酵母は熊本9号KA4で、日本酒度は+7、酸度は1.4

このお酒を飲む少し前に、高松市で研修会がありまして、1泊かけての出張だったので、出かけた日の夜に、ごく親しくしていた先輩に連絡を取り、一緒に飲んだのです。
それが「凱陣」との出会いでした。
話が弾み、その爽やかな甘口についついと飲み続けてしまい、寿司屋の湯飲みコップで3杯のお代わりをしてしまいました。
(「酒飲み」ではありません。「酒好き」です。)
翌日の研修では、殆どの時間ウトウトとして「飲み疲れ」を癒すことになってしまいました。

それで例の如く、同じ銘柄の酒を入手して飲みました。
そして結果も例の如く、期待通りの味は得られませんでした。
先輩と飲んだのは、どちらかというと甘口で端麗な風味、恐らくアルコール度は14度から15度くらいの酒で、後で買って飲んだのは、日本酒度+7の辛口、しかもアルコール度数は17度。
場所も雰囲気も異なる状況で、しかも酒のスペックが根本的に違っています。
「夢よもう一度」は「新たなる酒の出会い」となりました。

毎度書いていますが、やはり「場」なのだと思います。
その先輩と二人きり(先輩は男性です)の会食は、現在まで、その時の一度きりのものです。
正しく「一期一会」なのだと感じました。

これから冥府の門をくぐるまでの時間、一度でも多く、このような「酒」に出会いたいと思っています。

2014年12月 「蒼空」

「蒼空」

12月22日



京都は伏見で醸造されているお酒です。
詳しくは「蒼空」で検索を掛けると出て来ます。
今風な経営者なのでHPでの営業が上手です。

私が出会ったのは5年ほど前になりますか。
精神科指定医研修会が京都であって、宿泊したホテルで、その名前を見つけました。

翌日は一日中缶詰となる研修会なので、(受験そっくりで、顔写真で本人のチェックまでします)「清々しい」名前の酒でも飲んで英気を養おうと注文しました。
私好みの淡麗中口の酒という印象でした。

次にその名前を見たのは1年後。
当時、京都へ引っ越したばかりの次男が、帰省の際の土産にと持ち帰りました。
「うまい」と言うのです。
(そういえば、うちの子供は、私への土産の酒選びが、段々と上手くなって来ているような気がする)その時、紺色の「布製ラベル」を初めて見ました。



HPを読めば分かるのですが、この藤岡酒造さんは純米酒しか造ってないそうです。
で、ラベルは統一されており、白色が純米、紺色が純米吟醸で、水色は純米大吟醸になっています。

今回、HPを見て驚いたのは、このラベル。
ペリッとはがして、猪口のコースターにして下さいとありました。
(私は、ペリッとはがしてスクラップに貼りました)
このようなラベルに出会うのは初めてのことで、なかなか考えていると感心しました。

HPによると、この蔵は二十年前に再建されており、再建当初は醸造量も少なかったようです。
再建当初からの「手作り」を現在も続けているそうです。
京都中心に販売されているようで、京都の割烹の店でも数種類の酒メニューの中に見掛けました。

「よい酒は必ずや天に通じ、人に通じる」との謳い文句の通り、そして、「青空を見上げるとホッとできるように、飲んだ人が優しい気持ちになれるような、そんなお酒を造りたい」という醸造主の言葉通りのお酒だと感じました。



スペックは上記ラベルの通りなのですが、私自身の味わいは淡麗中口。
「純米」特有の癖を余り感じさせない味わいでした。
「灘の男酒」「伏見の女酒」と言われることもあるそうですが、確かに口当たりが良く、爽やかに全身に染み込んでいきます。
アルコール味が柔らかく広がるなかで、微かな芳香が余韻として残ります。

酒の味は酒蔵に長年住み着いた菌類が、その蔵独特の味を造るとも言われているのですが、新しい蔵の酒も、なかなかに美味しいものだと思います。
「古い」「新しい」は関係なく、杜氏さんの情熱と感性が、「人」に好まれる「味」を造るのだと思います。

最後に、純米大吟醸の方も飲んでみました。
口当たりが更にまろやかに、飲みやすくなっていました。

2015年1月 「角館の酒」

「角館の酒」

1月22日



今月は、昨年4月に出掛けた角館の話です。
地酒屋さんで5種類注文して持ち帰りました。



実際には「角館」という銘柄の固有の酒はありません。
上の写真のうち、左から2番目の「角館」は、「福乃友酒造」で醸造されており、他の4本が「鈴木酒造店」で造られています。

では何が「角館」かと言いますと、上の5本に共通しているのは、「発売元」が「地酒・伏見屋」という点です。

言うなれば、徳島県内のどこかの酒造会社に注文して、「地酒・城南46酒」という銘柄で売っているようなものだと思います。
酒造会社が複数ありますが、秋田県の地酒であることに違いはないと思います。

私的には、福乃友酒造の角館・純米吟醸が一番口に合っていました。
写真右端の陶器入り「みちのく秋田・角館」は、アルコール度数が18度以上19度未満で、私好みの「酒っけー」でした。

現地では、その他に「太平山・花葉館」生貯蔵酒、「太平山・天巧」純米大吟醸、「刈穂」超辛口、「秀よし」本醸造生貯蔵酒、「春霞」純米大吟醸、「香り爛漫」純米吟醸など、手当たり次第に飲んで来ました。
3泊したので、一晩2種類づつくらいの見当です。
(「酒飲み」ではありません。「酒好き」です。)

面白かったのは、現地の居酒屋「土間人(どまにん)」で飲んだ「超辛口」という触れ込みの「刈穂」と、上の写真の「朔雪・本醸造生酒」と味が似ていることでした。



「刈穂」は焼き鳥セットで飲んで、「朔雪」は自宅で飲みました。
淡麗中口か少し甘め、軽く爽やかな吟醸香があり、風味、舌触り、喉越しが非常に気持ちよく感じました。
しかし「超辛口」の「刈穂」を甘く感じるなんて、なんという「味音痴」なのだろう。

宿泊初日の「角館温泉・花葉館」では、その名も「花葉館」という生貯蔵酒を飲みました。



これも「角館」と同じ類のものであり、温泉宿が小玉醸造株式会社に特注している酒であり、本体は「太平山」という銘柄の酒です。

「太平山」は結構有名な銘柄の酒ですが、温泉宿で飲んだ「太平山」は、アルコール度数13度以上14度未満の、極めて飲みやすいお酒でした。

そのうち徳島でも、「吟醸・阿波観光ホテル」なんてラベルを貼った日本酒が、宴会の席に出てきたりして・・・。

2015年2月 「瓢太閤」

「瓢太閤」

2月20日



今回は徳島の地酒「瓢太閤」です。日新酒類のお酒ですが、他にも「すだち酎」とか「鳴門金時・芋焼酎」「やまももワイン」などなかなか地元密着型の商品作りをしている会社です。

徳島の地酒と言えば、全国クラスで「芳水」「鳴門鯛」、他に「御殿桜」「眉山」「入鶴」「津乃峰」「司菊」「今小町」「穣」、「三芳菊」、そして11月号で少し書いた「旭若松」、これも徳島の酒かと驚いた「お殿田」などがありますが、他にも前記と同数以上の銘柄があります。

何故、ぞろぞろと銘柄の名前が出て来たのかといいますと、名前の出た銘柄は、一応飲んでみたからです。
名前を出さなかった銘柄は、まだ味見していません。
昨年秋に飲みそびれた「どまんなか」の「旭若松」も12月の忘年会で、たっぷりと飲みました。
(「酒飲み」ではありません。「酒好き」です。)

で、本題の「瓢太閤」ですが、只今、全国に向かって「売出し中」といった所でしょうか。
水は吉野川の伏流水を用い、阿波山田錦を酒米としています。
総じてやや甘口に仕上げられており、飲みやすいお酒です。
吟醸香は「徳島風」。つまり「洗練度」が今一つで、「爽やかな味」にあと半歩といったところですか。
しかし、そんなところが地酒の良いところなのかも知れません。

実は、この「瓢太閤」には苦い経験がありまして、ある時飲んだ「瓢太閤」が、私の「味」分類でいう、
「飲みたくないお酒」だったのです。
いろいろ沢山飲んだ酒の中で、唯一「飲めない酒」でした。
今から思えば、保管に問題があったのだと思うのですが、暫くの間は、この「味」がトラウマとなって、
食指が動くことがありませんでした。

何年か経って、とある宴会で「瓢太閤」が出て来た時、予想していた味と全く異なる味に、まず驚きました。
(それで、酒の「変質」ということに気付いたのですが)
それからは、時々飲んでみることにしました。



こんなのも飲みました。
「にごり原酒」だったからか、日本酒度がなんと−15度。
アルコール度18.5度であり、結構美味しかった記憶があります。
(「にごり酒」って、どれも癖があるけど美味しいですよ)
「生酒」ではないので「火入れ」をしているのだろうけど、「原酒」で「にごり酒」だから、醪(もろみ)を粗く濾して「加水」していない濃厚な酒だったのだと思います。
そんな知識が無かった当時は、「わー、これ美味い」でした。




それで、地元の酒でもあることだし、「芳水」のように一度「腰」を入れて飲んでみようと思い立ち、(「酒飲み」ではありません。「酒好き」です。)
昨年の秋、「瓢太閤」の頒布会のお知らせが新聞広告に出たのを見つけて、挑戦してみることにしました。



「純米」と「吟醸」がセットで、10月と11月にそれぞれ1本づつ、12月には「渾身の」「大吟醸・蔵」という組み合わせでした。
12月の「大吟醸・蔵」は、「日本晴」と「山田錦」の2種類の酒米をブレンドした、「オススメ」品だったのですが、私的には、10月と11月の酒の方が美味かったような・・・

どれも少し甘口で、微妙にお米らしき味が残り、「吟醸香」は、それ程際だつものではありませんでした。
少し「癖」を残しつつ「軽快で爽やかな風味」に仕立てられたという印象でした。



最初にとんでもない味に出会して食わず嫌いになっていた酒ですが、(そもそもは私の誤解だったのですが)それでも年を改めて再挑戦することは大切なことだと痛感した次第です。
無類の「酒好き」として。

2015年3月 「新潟淡麗・にいがた酒の陣(前編)」

「新潟淡麗・にいがた酒の陣(前編)」

3月25日



この連載を始めてかれこれ1年が過ぎました。
今回は「銘柄」の話ではなくて「酒祭り」の話です。

徳島でも池田で「四国酒まつり」を開催しています。
昨年は1万5千人の動員があったそうで、今年2月は16回目の開催となっています。

今回の話は、新潟市であった「酒祭り」の話です。
表題の通りの催しで、詳細はHPに掲載されていますので、私の説明より分かり易いでしょう。
私の話は、いわば「実況放送」といった内容です。



会場となった「朱鷺メッセ」の正面玄関の写真です。
この催しに参加する為、会場に隣接する日航ホテルに宿を取ったのですが、午前十時からオープンというので
九時前にゆったりと朝食にしていたら、正面玄関にタクシーが列を成して入って来るのが見えました。
何か「別の」催しでもあるのかなと考えていたら「甘かった」。

朝食を終えて、正面玄関へ出てみたら、既に入場を待つ人の列は、会場から溢れ出て、外の道路にまで伸びていました。
何とバスを仕立ててやって来る団体もあり、会場へ来る路線バスは、どれも満員でした。

この日の入場者数は7万人。
徳島アスティ大ホールの何倍かの広さのホールに、7万人ですよ。
勿論、どんどん出入りしているのだけれども、「酒に酔う」前に「人に酔う」感じでした。

で、初日は入場を断念して、2日目に挑戦しました。
2日目も午前中は長蛇の列を成していたので、人出の少なくなる午後に行きました。



流石に道路に溢れ出ていた人の列は無くなり、会場ホールで三十分くらい並ぶだけで済みました。
(初日は何と最長2時間並んだそうです)

大きなイベント会場の入り口では、「利き酒」用の猪口を渡されました。



一緒に渡されたのが「和らぎ水」が入ったペットボトルでした。

これは、なかなかに気が利いていると思いました。
同じ猪口に、次から次へと様々な酒を注いだら、酒の味が混じってしまうと思うのです。

それで一杯飲んでは、和らぎ水で猪口を洗いました。
完全ではないにしても、猪口の底に前の酒が残る、ということは避けることができました。

池田の酒祭りでも「和らぎ水」を出しているそうで、こちらは「仕込み水」を提供しているそうです。
主な目的は「酔い醒まし」とありました。

平成24年10月に行った広島県の西条の酒祭りではこの「和らぎ水」が有りませんでした。
1回試飲する度に、利き酒猪口を洗いに水道の蛇口がある場所へ行ったのでした。

この欄の「酔心」で書いたように、西条の酒祭りでは当日、私は殆ど「仕込み水」ばかり飲んでました。
会場では三種類くらいの酒しか飲まなかったのですが「芋漕ぎ」状態の会場内で、水道を探して
ウロウロするのが、結構しんどかったです。

西条では、会場での試飲よりも酒蔵を巡っての試飲が良かったように思います。
新しい容器で飲んで、口直しはその蔵の仕込み水といった具合でした。

ところで前出の写真、右と左と違うでしょう。
左側は最初に入場した、その時に渡された猪口です。
右側はそそっかしい家内が、猪口を落としてしまい、もう一度貰った猪口です(勿論、無料です)。



この写真は、閉会となり会場を出る時のものです。
午後すぐの入場の時には、この3倍は人が居ました。
しかし最後の最後まで、各ブースで試飲の提供があり良い(酔い)気分にさせられた酒祭りでした。

2015年4月 「新潟淡麗・にいがた酒の陣(後編)」

「新潟淡麗・にいがた酒の陣(後編)」

4月22日





いきなり酒樽で済みません。今月も新潟のお話です。
先月は催し物の話でしたが、今回は「酒」の話です。
「酒好き」の方なら、ご存じの銘柄が沢山あるものと思います。
先月は雰囲気を出す為に全景の写真を載せましたが、今月は酒樽の文字が読める写真にしました。

写真の表玄関の酒樽は68種類ですが、朱鷺メッセのフロアには86のブースがありました。
純米、吟醸などの種類を数えると五百種類の酒が一堂に揃っているのです。
新潟県一県で五百種類ですよ。凄い、凄すぎる。
「酒好き」でなくても涎が出そう。(出ないかな)

ところで表題にもある通り、新潟のお酒は、「淡麗」であることを宣伝の文句としています。
「豊かな味わいと滑らかさ、喉越しの良さを兼ね備えバランスの取れた味わいである」と表現しています。
確かに「淡麗」と感じる酒が多いのですが、会場内の酒蔵さんの各ブースでは、純米、吟醸、大吟醸といろいろな酒が置いてあって、「淡麗」と一口では語り尽くせない、様々な酒の味が楽しめました。

家内は、東日本の酒を総じて辛口と表現します。
秋田で飲んだ酒も、確かに辛口が多かったような。
酒米として、こちら(西日本)は「山田錦」を使用することが多く、東日本や東北地方では「五百万石」を使うという違いはあるのですが、以前書いたように切れ味が確かに違うと感じます。(主には「水」と冬場の「気温」
なのではないかと思っています。)

鋭く迫ってくるような東北地方の切れ味に対して、西日本の酒の多くはまろやかな優しさがあるように思います。
私は東北派、家内は西日本派といった所でしょうか。
酒の味に何を求めるかで、好みが変わってくるのではないかと思っています。

新潟の会場では、後で数えてみたら18種類の酒を飲んでいました。記憶力に自信がない私は、何がなにやら、もうサッパリ分かりません。
「あっ、これ美味い」「こっちもなかなか」なんて言っているうちに、本当に分からなくなりました。

それで、駅前の「ぽんしゅ館」で4本、会場で2本お酒を仕入れて、持ち帰りました。気になった銘柄をもう一度自宅でじっくり飲んでみることにしたのです。
それにしても、新潟に住んでいる人が羨ましい。
駅前に、「有名どころの旨い酒」が「それこそ一杯」、いつでも「飲みに」「買いに」行けるのだから。



「〆張鶴」は実家への土産にして、飲んだのは5本。
1本1本の感想を書いていたらキリがないので、蔵本君が書いていた「お勧めの酒」の1番に出て来る佐渡の酒「北雪YK35」について。
私が購入したのは「北雪・純米原酒」でした。

「YK35」の方は酒米に山田錦を使用し35%精米、長期低温醗酵で醸造された純米大吟醸酒です。
私が買った「純米原酒」は酒米表示が無しでした。
恐らく地元佐渡の酒米と「五百万石」を使用しているものと思います。

味の第一印象は、徳島三好高校の「大地の夢」でした。
特に、昨年末に出た「大地の夢」を思い浮かべました。
吟醸香の風味を持った少し甘口の酒という印象です。
少々荒々しい野武士のような「大地の夢」に対して「北雪」はあくまでも上品で、喉越しは爽やか、軽快でありながら落ち着いた味を感じました。

そう、同じような風味を感じるものの、「大地の夢」は踊っていて、「北雪」は座っているのです。
(国語力の無い私の「変な」表現です)
更に言うなら、「大地の夢」は「純米吟醸」なのですが「北雪」は精米歩合65%の「純米・原酒」なのです。
そして「甘口」と感じたのでした。

恐らく「アミノ酸」や「酸度」の違いではないかと私は想像しています。
つまり「酸度」が下がると「甘口」に感じる傾向が強まるのだそうです。
では「大吟醸」になったらどうなるか。
これはやはり「YK35」を取り寄せて、もう一度飲んでみなくてはならないと思うのでした。
無類の「酒好き」として。